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漫画「世界鬼」ネタバレ感想 岡部閏 鏡の国のアリス症候群

絶望するような日常から、不思議の国へ入ってしまう少女ーー漫画「世界鬼」は『鏡の国のアリス症候群』の少女・東雲あづまが、鏡を通して異世界へ入り「世界鬼」とバトルを繰り広げるSFストーリーです。

「世界鬼」ネタバレ

虐待を受ける孤児

東雲あづまの唯一の心の友達は、セキセイインコの『文鳥ちゃん』。鏡の中を通して、話をすることもできる。

あづまの日々は、地獄だった。両親がおらず、親戚の叔父一家に引き取られたがひどい虐待を受けていた。

一番下の従兄弟・かずやにはいつも「俺のプリンを食べた」と冤罪をかけられて殴られ、叔父からは性的虐待を受けていた。キモイ長兄がとうとう、親友である文鳥ちゃんを殺してしまいキレたあづまだったが叶わずにボコられてしまう。

それ以来、ずっと文鳥ちゃんの死体を持ち歩くようになるあづま。精神科医のところで『鏡の国のアリス症候群』だと言われるが、お金がなくて追い出されてしまう。

突然ワンダーランドへ

水たまりの水鏡の中から、突如として現れた巨大なモンスター。そして、叔父に襲われている最中に覗いた鏡を通して、あづまは異世界へ入ってしまう。

そこにはあづまと同じ病気をもった人たちが先に来ており、何もかもが反転した「鏡の世界」だとわかる。

「チェシャ鬼」という世界鬼が現れ、召喚された人々が力を合わせて戦う。そこは思いが具現化し、力となる世界だった。

生命エネルギーを消費してバトル

戦ううちに、次第にそれが自分たちの生命エネルギーを消費していることに気づく。鏡の世界にあるのはアバターであり、実体ではないがエネルギーが尽きたとき、実体もまた死んでしまうという。

世界鬼を倒すと代わりに身近な人が死ぬ

世界鬼を倒す存在は「アリス」と呼ばれている。

アリスたちは世界鬼を倒せるようになっていたが、世界鬼を倒した者の身近な人が同時に死んでしまい、この世界のルールで「世界鬼を倒すと、アリスと日常を共にしている人間が死ぬ」ことがわかった。

家族、恋人、友人、大切な存在を失ってしまうと知り、戦う事自体を拒否するようになるアリスだったが、唯一、あづまだけは喜々として戦うようになる。

あづまの身近な者たちは、いつもあづまを虐待していじめてきた叔父一家しかいなかったからだ。叔父一家に復讐できる。

戦う理由ができたあづまは、殺意を持って世界鬼と戦うようになる。

「世界鬼」の感想

いじわるな叔父さんたちからいじめられ、虐待されてボロボロになっていた少女・あづま。最初は虐待系の暗い話なのかなー、と思ってたら、いきなり異世界バトル漫画になっていて一気に引き込まれました。

この物語の面白いところは、あづまの不幸な生い立ちこそが、ワンダーランドでの戦闘であづまの力を高めていることです。心に闇を抱え、その闇が深いほどに強い力となる異世界のルール。

そして、通常であれば忌避してしまう「身近な者の死」という足かせさえ、あづまにとっては「復讐」というご褒美に変わってしまいます。

あづまの母親はまだ生きており、世界鬼を倒して叔父一家を消し去り、いつか母親に会いたいと考えるようになっていきます。そして、いつもあづまを気にかける存在である瀬木ひじりには、「ある秘密」が・・・

「文鳥ちゃん」とあづまがいつも大切にしていたセキセイインコと、深い関わりがある彼。そのほかの「アリス」たちも、個性的でそれぞれに深い闇を抱えており、バトルを通してどんな結末を迎えるのか。

読み始めると止まらない、善悪を超えたダークなストーリーで不思議の国の魅力満載でした。

 

>>「世界鬼」試し読み