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漫画「殺し合う乗客~闇の旋律~」ネタバレ感想 木元紀子

漫画「殺し合う乗客~闇の旋律~」は、「ブスが7億円もらったら」シリーズで大人気の木元紀子の新作です。

トンネル崩落に巻き込まれた路線バスの乗客たちが、どのような行動を取るのか。極限の状況下であらわになる、人間の闇を描く作品です。

「殺し合う乗客~闇の旋律~」ネタバレ

バス停で男に絡まれる主婦

雨降りの中、傘をさしていた主婦が隣にいた薄汚いオヤジに絡まれる。

「おい、そこの女。しずくが当たって冷たいって、さっきから言ってるだろ」

何度も謝っているのに、再び絡んできた男に戸惑いを隠せない主婦。

「なんとか言え!この野郎!!」

突き飛ばされ、雨に濡れながら胸ぐらをつかまれて「謝れって言ってんだ!」というオヤジにむりやり「すみません」と謝らされる。

主婦が理不尽な言いがかりにさらされている間、バス停に並んでいる乗客たちは、「面倒はごめんだ」とでもいうように、目をそらして誰も助けてくれなかった。

「誰か、誰か、助けて」

必死で哀願するように目で助けを求めても、見て見ぬふり。誰もが、自分が一番かわいいのだ。

 

他人の冷たさが身にしみる

ようやくバスがやってきて乗車できたが、主婦は座席で人間というものの冷たさが身に染みるように感じていた。

「あの人も、あのひとも助けてくれなかった」

ふと、自分の生活をふりかえる。自分の人生はいつもそうだった。

主婦は名前を苗子と言い、夫の母親と同居している。口うるさい姑は買い物に行ってきたばかりの苗子に「これちょっと買ってきて」と、再び使い走りをさせたのだ。

「家にいたって、家事もまともにできないくせに」

夫の実に助けを求めるが、「買い物ぐらい行ってやれよ」と、自分の母親を敵にまわしたくないばかりに、決して味方にはなってくれなかった。


前の座席のやさしいおばあさん

そう。結局みんな自分が大事なのよ、誰も助けてなんかくれない。

悔しくてうずくまるようにしていた苗子に、「お嬢さん、どうしたの?気分でも悪いの?」と前の席のおばあさんが声をかけてくれた「よかったらこれ飲んで。酔い止め」と、バス酔いしたと思ったおばあさんが薬を差し出した。

苗子はその優しさで胸がいっぱいになり、見ず知らずの人が気遣ってくれるのを嬉しいと感じる。

トンネル崩落事故でとんでもない目に

バスがトンネルにさしかかり、恐ろし地鳴りが聞こえて土砂が崩れて落ちてきた。

一瞬で意識が真っ黒になり、気がついたとき、バスの中はグシャグシャだった。そして運悪く、つぶされてしまった人もいた。

子供が亡くなり、悲鳴をあげる母親。ガラスが突き刺さり喚き声をあげる、あの絡んできたオヤジ。

生き残った乗客が電話で助けを求めようとしたが、電波はつながらない。

バスはトンネル内に閉じ込められており、外から救出されないかぎりは出られない。

苗子は前の座席のおばあさんが頭から血を出しているのを見て助けた。

 

「やさしいねえ。こんな親切な方がいるなんて」

「それはおばあさんのほうですよ。バスの中で気遣っていただいて」


苗子は優しさのお返しのつもりで、おばあさんの面倒を見ていた。そして買い物袋があったことを思い出し、取りにいった苗子だったが・・・

 

「殺し合う乗客~闇の旋律~」の感想

他人がどうなろうと関係ない。自分さえ良ければそれでいい。

そんな殺伐とした社会になりつつあるのを感じます。この漫画のように極限の状況ではなくても、バスや地下鉄で似たようなシーンに遭遇することはあります。

 

変な人に絡まれている女性がいても、怖いから知らんぷりしてしまったり、困っている人がいても見て見ぬふりをしてしまったり。

ほんの少しの気遣いで優しさが伝わるのに、「かかわり合いになりたくない」と冷たく通り過ぎる人々・・・

 

ヒロインの苗子は、そんな日常に悲しい思いをしながら生きてきましたが、おばあさんの小さな親切に心があたたかくなります。

けれど、乗客たちは命の危険がある状況で殺気立っており、事態はすでにお互いを邪魔者として排除しようとするサバイバルに・・・

木元紀子先生らしい、人の中にある闇をえぐりだすようなお話でした。

 

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