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漫画好きの読書箱

好きな本や漫画のネタバレと感想。

声なきものの唄 1巻ネタバレ 瀬戸内の女郎小屋に売られた少女

安武わたる先生の漫画「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」

亡くなった父親が残した借金のカタで、遊郭へ売られていく姉妹。

海女をして暮らしていた活発で何にも染まっていない少女・チヌは、姉と離れ離れになりながらも女郎として自分を卑下せず、強く生きる姿に応援したくなってしまう作品です。

第一巻ネタバレ感想のご案内です。

「声なきものの唄」 1巻ネタバレ

試し読みできるで。↓

やめて!お、お姉ちゃん!?

主人公・チヌは14歳。しっかり者で美人の姉・サヨリとともに、住み慣れた瀬戸内の島から女衒に連れられて「女の競り市」に到着。

似たような境遇の女たちがゾロゾロと集められた中、姉のサヨリは「へへ、上玉やないか」とよだれを垂らさんばかりにジロジロと眺めるおっさんたち(女衒)の前でいきなり着物をペロ〜んっ!

 

きゃああっ いやああっ

お姉ちゃんの悲鳴を聞いたチヌは「やめて!姉やん!!」と突撃するも、丸裸にされた姉を救えるはずもなく女衒のおっちゃんに「このアホウが!」とひっぱたかれてしまう。

そしてお姉ちゃんは女衒の中でも評判の悪い瀬島に買われ、姉妹はバラバラに。

女郎が嫌で絶望して海に飛び込んだら若様が釣れた!

チヌの容姿はハッキリ言って姉と比べてかなり見劣りがしたため、売れ残って下層の遊郭のおっちゃんに下働きとして拾われる。

明治時代の公娼制度では16歳未満は見世に出せなかったので、年齢的にまだ安全圏なチヌだったものの、「正真正銘の初物じゃ」という初物好きの軍人のおっさんに目をつけられてしまい、楼主が無理やり見世に出してアーーーッとされてしまう。

「おお、ピチピチしておる」

という初物好きのおっさんに遊ばれ、人間扱いされない女郎に絶望して「島へ帰る」と海へドボンとダイブしたチヌ。島は遠すぎるので泳げるわけはなく、あえなく「溺れちゃうー」なところを、たまたま釣りに出て通りかかった若様に拾われる。

まさに、『海へドボンで若様ゲット!』な強運なチヌであった。

 

甘くない遊郭生活

地主で大金持ち、さらにイケメンという三拍子そろった若様(若水公三郎)に見初められ、何かと良くしてもらえる。

だが、遊郭は所詮は女の地獄であり、甘くはない場所だった。

小梅という先輩の女郎は旦那を亡くして二人の息子を両親にあずけて女郎となったが、結核を患って血を吐き追い出されそうになってしまう。

生きて帰っても、病の自分では家族の足でまといになる、と自らアボンした。女郎の最後はこんなふうに、どこまでもみじめなのだ。

 

お約束の先輩女郎からのいじめ

まもなくチヌのいた遊郭はつぶれて、他所の遊郭へ転売される。

新参者でなおかつイケメン若様にひいきされているとあれば、お約束な展開は先輩女郎からのいじめ。男が絡むと、女は極端に残酷になれる。足の裏に熱っしたキセルを当てられアーーーッなチヌ。

若様にホの字だった東陽楼の紅緒姐さんは、チヌが若様を盗ったと頭に来てチンピラを使って遠くへ売り飛ばそうとするも、なぜか最後で紅緒姐さんが自らの悪事をベラベラとしゃべってすべての罪が発覚。

あっけなくナンバーワン太夫だった紅緒姐さんを遊郭から追い出し、チヌは看板女郎となっていく。

 

チヌもまた女!新米の頭が弱い「小蝶」に嫉妬

子供のように無垢で無邪気なところがあるチヌを、女嫌いだと噂される若様はかわいがる。女郎として働くようになって半年、チヌもいくぶんか貫禄がついてきた。

そこに新米の女郎「小蝶」が入るが、見た目はかなりかわいくてキレイなのにアスペ、いや頭が弱いために平気でチヌの旦那である若様に秋波を送り、チヌを激怒させてしまう。

怖い女の顔になって、小蝶をいきなりビンタするチヌ。

こええええっ、いつもの「若様♡」という無邪気スマイルはどこに行った!? というくらいに「あたしの男に手を出してんじゃねえよクソアマが」という態度でかなり怖い。

無邪気で子供のようだ、というチヌもまた「女」であった。こえーよ、チヌ・・・若様の前で本性見せてしまいます。

 

この世はむごいの

女の戦いをしていても、女郎であるという連帯感は常にあり、若様に媚を売った小蝶であっても本当の危機には力いっぱい助け出すチヌ。

小蝶もまた、哀れな女であり頭が弱いゆえに利用され、「こうすりゃ食い物はもらえんのや」と、大股びろ~んと開いて小さい頃から生きてきた、と笑う。

 

『この世はむごいの』

 

ほかに生きるすべを知らなかった小蝶の哀しみ。相手の無知につけ込み、骨の髄までしゃぶりとろうとするあくどい世間。この世はむごい、としか言いようがない。

チヌは小蝶の身代わりとなって船の荒くれ男たちの慰み者にされるが、最後は「またどうぞごひいきに」と笑って見せた。むごい世の中に勝った、と思った瞬間。

 

涙が出る。

 

誰もかばってくれる人がいない人生で、初めて自分を守ってくれる人がいたことに涙を流す小蝶。

こんなお話、泣かずには読めない。読んでみな。

 

>>「声なきものの唄」試し読みはこちら