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漫画「はじめての猫」ネタバレ感想 志村志保子

志村志保子先生の漫画「はじめての猫」は、感情が薄いタイプのヒロイン・20代女子、澤口江衣子が猫の譲渡会で出会った猫に一目惚れしていきなり飼ってしまうお話です。

「はじめての猫」ネタバレ

感情の薄い平凡なOL

澤口江衣子普通に大学を出て医療機器メーカーに就職して3年になる、平凡で目立たないOL。仕事はほどよく忙しく、特に不満もなく淡々と日々が過ぎていきます。

大学時代からつきあっていた彼とは「好きな人ができた」という理由で2年前に別れを告げられましたが、「わかった」と答えたら「江衣子はあっさりしてるよな」という捨て台詞を吐かれました。

感情の起伏に乏しく、ものすごく好きになることはないけれども、ものすごく嫌いになることもない。地味で平穏な日々に、江衣子自身は満足していました。

猫の譲渡会での出会い

そんな江衣子が、ある日友人の誘いで猫の譲渡会へ誘われます。友人は猫を飼いたいから見に行きたいけど、つきあってくれる人が誰もいないからついてきてほしい、というのです。

江衣子は暇だったのでなんとなくつきあいますが、行ってみると番号が割り振られた子猫たちがみゃーみゃーと騒がしく、目を見張ります。

過去を振り返ると、親からは「動物は汚いから触っちゃだめ」と遠ざけられて育ったため、間近で猫を見るのは初めてだったのです。子猫に接した経験などない江衣子は、そのあまりのかわいらしさに心が揺さぶられます。

 

「なんだ、このえらいかわいい生き物は!?」

中でも「11番」と割り振られた子猫は、やたらとぼーっとしており、状況処理能力の低さにかえって江衣子は惹かれます。猫には番号札がつけられており、希望者が手をあげて飼い主になる仕組みです。

飼うつもりなんかまったくなかったのに、江衣子はつい「11番」と聞いた瞬間、手をあげてしまいました。そしてその子猫を飼うことにしたのです。

衝動的に飼ってしまった結果

江衣子は何も考えずに子猫を連れ帰ることにして、ペットショップにまっすぐ寄って必要なものを買い揃えます。

その日まで、江衣子は一度もペットを飼いたいと思ったことがなく、何をどうしていいのかわからない状態。住んでいるアパートの規約を確かめるとペット禁止になっており、非常にまずい状況です。

「はじめて猫を飼う人へ」という本をよむと、「ただかわいいというだけで飼うのはやめましょう」「相手は生き物。命あるものを飼うことの意味は考えましたか?」など、衝動的に子猫を飼うことにした江衣子の胸をえぐるような内容でした。

「ナッカ」と名前をつける

猫を飼う環境どころか、ペット禁止の住居をまずなんとかしなくちゃいけないし、自分は一人暮らしで仕事中に面倒をみてくれる人もいない。

きちんとやらなくちゃいけないことが山積みで、肝心の子猫はというと、部屋のベッドの下に隠れて出てこないうえに、気がついたらいなくなっていました。

ベランダの窓の隙間から逃げ出してしまった猫を追いかけて、江衣子は「私なんかが猫を飼いたいと思っちゃいけなかったんだ」と落ち込みます。だから、猫は出ていったのかもしれない、と。

 

部屋に戻ると、子猫はなんとキャリーバッグの中にちょこんと収まっていました。「飼ってもいいよ、ってゆるされたような気がした」と江衣子はそのとき思います。

バッグの中にいたから江衣子は「ナッカ」という名前をつけて、大家さんに引越しするまでの間だけ猫を飼う許可をとり「猫と暮す毎日」を手に入れいたのでした。

感想・静かに共感できる漫画

志村志保子先生の描く漫画は、淡々とした日常が描かれている特徴があります。日常のちょっとした出来事に心をふるわせること、江衣子のように考えてもいなかった「猫と暮すこと」を思いつきではじめてしまう、ということはよくあることです。

猫を飼うにあたり、本当はいろいろ準備してから猫を受け入れる準備をするべきではあるのですが、運命的な出会いというのでしょうか。「ビビビ、ときた」とペットに一目惚れしてしまう状況って経験がないでしょうか。

 

子猫と暮らすことで、「命」の大切さを教えてもらう江衣子は、感情が薄いわけではなく、ナッカとのふれあいですっかり感情豊かな女性に変わっていきます。

ほんのり優しい気持ちになれる、感動系の物語でした。

>>「はじめての猫」試し読み