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AIの遺電子 ネタバレ感想 山田胡瓜

山田胡瓜先生の漫画「AIの遺電子」は、知性を持ったAIが「ヒューマノイド」として人口の少なくない割合を占めている未来のお話です。

人格や心を持つヒューマノイドたちには、人間と同等の権利が与えられ、結婚もできるし見た目ではわからないくらいに似ている。頭を損傷しない限り死なないけれども、「コピー」は許されない。

ヒューマノイド専門の医者・須堂が関わる患者たちを通して、近未来が描かれています。なお、各話読み切り形式になっているので、どの話から読んでもストーリーに入っていけます。

「AIの遺電子」のあらすじ

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バックアップと人格のコピー

国民の1割が「ヒューマノイド」になった日本。ラーメン屋でおいしいラーメンを作るおじさんもいれば、人間の体にインプラントを入れて生身でネットワークにつながることもできる近未来。

須堂はヒューマノイドの専門医で、その日ある夫婦のもとに診療に出かけた。

妻が頭を打って不具合が出ている、という。「バックアップしたんだろ」と診断後、責める須堂。この時代、ヒューマノイドのバックアップは違法であった。

だが不具合は、そのバックアップ時の外部接続でウイルスが侵入したせいだった。幸いバックアップ自体にはウイルス感染されておらず、今の人格に「上書き」すれば元に戻れる。

だが、実行寸前で妻は「今の自分」と「バックアップの自分」が違う存在だと気づき、「待って!」と叫んで・・・

 

かけそばの味とヒューマノイド

落語家のヒューマノイドは、「かけそばをうまく食う演技ができない」と師匠に怒られていた。だが、この体では空腹を覚えないし、人間のように心から腹が減ってうまそうに食べる気持ちがわからない。

仕方なく闇医者のもとで腹が減るように体をいじってもらったが、ヤブ医者だったために食べても食べても空腹感がなくならない状態になってしまう。

倒れた彼は、須堂に助けられて満腹中枢を元に戻してもらうが、やはりヒューマノイドに人間を演じることはできない、と落ち込む。

だが、師匠が「実はそばが嫌いだ」と話し始めて・・・


ポッポとケンちゃん

ケンちゃんの大事なしゃべるクマのぬいぐるみ、ポッポは「ユキちゃんはどこ」と知らないことを話し始め、須堂のもとに連れてかれた。

調べると記憶メモリのデータ救出で直したはずだったが、また不具合が起こる。「ユキちゃんはどこ」と同じことを聞き始めるポッポ。

母親はそのロボットは生き物じゃなく、よくできたおもちゃでしかない、と息子に言い聞かせるが、ケンちゃんにとってポッポは大事な家族。

ケンちゃんは再び須堂のところに行き、ポッポには古いデータが大量に残っており、「前の持ち主」のことを探していたのだった。

以前の持ち主である女の子・ユキちゃんはすでに亡くなっていたが、彼女と「ずっと一緒だよ」と約束したポッポはもう一度会いたくて探していたのだった。

 

「AIの遺電子」の感想

AI、機械がいつか進化し、人間のように話せたり人格を持つようになるーーという設定の物語は多数ありますが、この漫画「AIの遺電子」は特別です。

人間らしく生きているヒューマノイドたち。やはり人間とは違っていて人格や感情をもつがゆえに悩み苦しみ、自我とはどういうものなのか、自分自身の存在について考えざるを得なくなります。

「遠い未来、もしもテクノロジーが発達して本当にAIが人のようになったら、こんな事件が起こるかもしれない」そう思わせられる話ばかりで、人間を超える能力を持ち、問題があれば体も頭脳も簡単にアップデートしてしまえるのに、完全な人間には絶対になれないジレンマがそこにあります。

この世界観にハマっていくと、まるで思考実験を見ているような感じで「人間の証明」あるいは、人間の定義について考えさせられました。

 

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